よろず屋小隊

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アニメーション「就活狂想曲」

来年度から就職活動に変化が起こる。いわゆる選考開始日が3ヶ月後倒しになり、15年3月から、内定を出す日は8月1日からとなるようで、巷の学生は大慌てだ。なぜ大慌てかというと、前例が無いから。ふつうはゼミなりサークルなりの上級生のスケジュールを参考にしたりするものだが、今回は結局いつから準備すればいいのか、どう行動すればいいのか皆目見当が付かず、しかも経団連に入っていない会社などの一部は全く別のスケジュールで選考をやるのだ。雑誌、新聞やセミナー等ではインターンの重要性が強調されたりで、筆者含め「とりあえずやっとこうぜ!」といった感じで各々が説明イベントに行ったり、インターンに行ったり、教室で四季報を広げたりとしている。筆者のようなTHE文系学生は信じられないほど行動的な学生や、運動バリバリのリア充間違い無しの学生と対面したりで、それぞれ苦労されていることだろう。ナムアミダブツ。


アニメーション「就活狂想曲」 - YouTube

それはさておき、真新しいお話ではないが昨年から話題の「就活狂想曲」という動画をご存知だろうか。東京芸大で2年前に作られた短編で、外人風に言えば”HAHAHA!!!!!”というべき快作。流されるままに周りと同じように就活に巻き込まれ、自分を見失っていく女子学生の姿が「四畳半神話体系」を彷彿とさせるイラスト(パクリではない。インスピレーションというべきだろう)とアニメの利点を生かした縦横無尽な場面移動・カメラワークで描写される。就活イベントに集結する黒一色で同じ顔をした学生たちと社員、協調を謳いながらも周りを蹴落として自分を売り込むことに必死な学生たちの姿は誇張に次ぐ誇張を加えられ、もはや化け物。ネットでは必ずしもリアルな姿ではないという批判があるが、それはちょっと違う気がする。「ザ・シンプソンズ」「サウスパーク」などでお馴染みの誇張された自虐風刺作品、ブラック・ユーモアに満ちたコメディだ。その割りに真に迫っているのが現代日本の救えないところなのだが・・

日本ではカリカチュアを施したブラックコメディーが今一つ普及しない傾向があるので、本作の存在は心強い。日本人の学生が見て文句ナシに面白いし、人によっては意気消沈も止む無しといったところだが、個人的には外国人の感想を聞いてみたいもの。日本の美点ばかり強調するテレビ番組、本の氾濫には若干ヘドが出るので、こういった現状を「嗤う」ものがもう少し出るとええのに。無ければ作ればいい、という話ではあるんだけど。