よろず屋小隊

映画、文学、時事、何でもござれ。

持続する緊張「KGBの男」「キム・フィルビー」

ジャーナリスト出身のイギリス人作家、ベン・マッキンタイアー著「KGBの男」「キム・フィルビー」を読みました。何れも第二次大戦後の東西冷戦を舞台に、前者はKGB(ソ連)を裏切り、MI6(イギリス)の二重スパイをしていたKGB高官のイギリスへの亡命事件、…

西村晃二本立て!「悪の階段」「東京湾」

先日、新文芸坐で久々に邦画二本立てを見ました。 コロナ以来、楽しみにしていた007をはじめ新作映画の上映延期も相次ぎ、映画館に足を運ぶことはすっかり少なくなっており、直近で見たのは「シン・エヴァンゲリオン」のみという有様でした。そんな中、偶…

5年ぶりの投稿です

大変ご無沙汰しております。 2016年8月にシン・ゴジラについてつぶやいて以来、すっかりとサボり続けてしまっておりましたが、思うところあり、また投稿を再開したいと思います。 これまでと変わらず本や映画を中心につぶやいていきますので、よろしけ…

シン・ゴジラの面白さ

庵野秀明がゴジラを監督すると聞いた時、ゴジラが復活することへの期待と同時に、一抹の不安を抱えたものも多かったのではないだろうか。なにしろ庵野総監督はエヴァ新劇を事実上放棄してゴジラを手掛けており、脇には単独で監督をさせたら毎回悲惨な樋口真…

【2015年映画振り返り】『スターウォーズ フォースの覚醒』と『スペクター』は評に困る映画である

最後に更新したのが4月末ということで、久々の投稿となります。残り少ない学生生活ということで、生き急ぐ毎日です。色々とバタバタした2015年もあっという間、皆様どうぞ良いお年をお過ごしください。 年末ということもあり、周囲で年間ベストを組まれる方…

これぞ「悪の法則」!『戦争プロパガンダ10の法則』

イギリスの政治家アーサー・ポンソンビーは、イギリスが第一次世界大戦時に行った膨大な質量のプロパガンダを目の当たりにし、戦後10年経った1929年に『戦時の嘘』という本を執筆した。その本に書かれた10の法則を、フランスの歴史学者アンヌ・モレリが解説…

ブラック戦車隊東へ!『肉弾戦車隊』

軍隊というのはつくづくブラック企業である。兵士は雀の涙の給料で朝から晩まで肉体労働に勤しみ、下手な真似をしてもしなくても時には休日が潰れ、実戦になればヘマしてもしなくても死ぬ可能性がある。国に帰れば国を守るヒーローという栄誉が基本的にはあ…

美しき戦争映画『大空への道』

<あらすじ> 1941年。とある英空軍基地に新人のピーター(ジョン・ミルズ)が配属された。ピーターは隊員や隊長とすぐに打ち解け、特に同僚のデヴィッド(マイケル・レッドグレイブ)と親しくなる。デヴィッドは町の女(ロザムンド・ジョン)と結婚して一児…

2時間の再現ドラマ『イミテーション・ゲーム』

"Based on true story" 「事実に基づく物語」 映画とは本質的にはフィクションだが、時に実在の人物の生涯を脚色し、映画化することがある。所謂「実話モノ」「伝記モノ」、昔の東映でいう「実録モノ」である。 これはコンピューターの基礎を発明したことで…

話題の凡作『アメリカン・スナイパー』

クリント・イーストウッド史上最高のヒット作で、先月25日、水曜の昼間ながら丸の内ピカデリーは高齢者で賑わっていた。しかし肝心の中身といえば、過去の監督の映画を観てきた者にとっては何ら特徴のない、いつものイーストウッド映画だ。 戦地で最も多くの…

何度見ても良い映画『真昼の決闘』

何度見ても良い映画がある。こういう映画はとどのつまり、色々な酒に手を出しても最後はお気に入りの酒を「やっぱりこれだよな」と飲んでしまう如く、発作的に繰り返し見たくなる代物。恐らく映画気違いに限らず、ヘビースモーカーでも、スポーツ狂でも、ア…

耽美と猟奇!橘外男『青白き裸女群像』

私が恐れ多くも時々寄らせて頂いているお店が新宿にある。そのマスターは現役時代、無く子も黙る敏腕編集長を長きに渡り、務められた方だが、そのマスターが人生で最も印象深かった本の一つとして挙げたのが橘外男『青白き裸女群像』だった。 たちばなそとお…

『ニッポン無責任野郎』の恐るべきエネルギー

本当はもう試験なので映画見てるべきではないんでしょうが、スカパーでやっているとついつい見てしまう。残念ながら吝嗇な私としては月額4000円のモトを取ろうとついつい見てしまうわけで、コマッタコマッタ。で、日本映画専門チャンネルでは先月から植…

さらばロッド・テイラー

日本に限らず往年のスターが次々と亡くなるこの頃。俳優のロッド・テイラーが84歳で死去した。ヒッチコックの『鳥』も勿論だが、個人的にイチオシはアフリカの血も涙も無い内戦を容赦なく描いた傭兵映画『戦争プロフェッショナル』。ケネス・モア、ペータ…

コワいぜ、現代の大映映画『ゴーン・ガール』

新年もあけましておめでとうございます。 調子乗ってブログを開設したはいいものの、先月19日を境に全く更新しておりませんでした(汗)。正に三日坊主、というところですが、久々の投稿です。 さて、新年一本目の映画は大好きな『ダーティハリー2』を初…

アニメーション「就活狂想曲」

来年度から就職活動に変化が起こる。いわゆる選考開始日が3ヶ月後倒しになり、15年3月から、内定を出す日は8月1日からとなるようで、巷の学生は大慌てだ。なぜ大慌てかというと、前例が無いから。ふつうはゼミなりサークルなりの上級生のスケジュール…

面白すぎるぞ『窓から逃げた100歳老人』

大学のサークルで知り合った男に紹介されて以来、私は新宿のとあるサロンに時々通わせていただいている。有名百貨店の小さな一角にあるそのお店は、土日にもなると日本全国からやってくる多種多様な顔で賑わっている。そこのマスターが太鼓判を押された小説…

インターステラーの衝撃

クリストファー・ノーラン監督『インターステラー』を遂に見た。SF映画と言うと昨年に最新技術を駆使した『ゼロ・グラビティ』が話題となり、3D効果と音響に圧倒された記憶も生々しいが、実質一年と経たずにまた新たな傑作が生み出された。それも今回は…

”劇薬”エンタメとはこういうものだ 李龍徳『死にたくなったら電話して』

まるで自殺を食い止めるお話みたいだが、間逆である。この題名でいいのか、と疑問に思う反面、この題名で大正解とも思う、絶妙なタイトルチョイス。表紙イラストが微妙なのが残念。 ツラだけはそこそこ良いが実に冴えない三浪男と、キャバ嬢の出会いと同棲、…

12月8日、もとい『新・仁義なき戦い』

12月8日とは何の日か、と訊かれて答えられる若者は皆無な気がする。仮に答えてもネトウヨだったりするのだから救いようがないのだが、8日は日本海軍による真珠湾攻撃の日である。アメリカ時間だと7日なので向こうでは”December 7th”として語られるアメ…

『ウォール街』の皮肉 反道徳の輝き

名作と名高い『ウォール街』。オリバー・ストーン監督というと有名で評価も高いが、必ずしも一般受けする作品を撮るとは言いにくい。ベトナム戦争三部作にしても他のにしても若干観るものを選ぶ映画が多いと思うが『ウォール街』は誰が観ても実に面白い。株…

ブラッド・ピット主演『フューリー』を観て

皆様初めまして、LastPanzerと申します。これまでyahooブログさんの Vamos a matar! 〜戦争映画データベース〜 - Yahoo!ブログ に戦争映画を紹介していましたが、新たにブログを開設致しました。ここでは戦争映画のみならず他の映画、文学、果ては議論を呼…